致死量カカオ

「だ、だい……」

「……あ、倒れた」


どこが大丈夫なんだよ。

俺に言ってる途中で豊海はそのまま後ろにバランスを崩して倒れた。


本当に大丈夫かあいつ。

っていうか俺のせいなのかやっぱり。毎回こんなふうに倒れる相手に俺はどうしろって?


頭痛くなってきた。
俺まで倒れそうだ。


はあ……と、ため息を窓からこぼして豊海の様子を眺める。「助けに行けば?」と茶化した宮木たちの言葉は聞こえないふりをして。


行くことがいやなわけではないけど俺が行ったら状況悪化することくらいさすがにもう読める。


そもそも付き合ってる彼女が風邪で休んだり怪我したからっていってこまめにお見舞いする性格でもないしな、俺は。


俺が行ったところで治るわけもねえし。

なんでそんな無駄なことを。

安静にしたほうがいいだろ。少なくとも俺は自分が風邪引いたときに見舞いに来られるのは嫌いだしな。


倒れた豊海の周りにわらわらと生徒たちが集まっていく。


その生徒たちの中には女子はもちろん男子もいるわけで。


男子の一人が心配してか声をかけると、豊海は恥ずかしそうに笑って立ち上がった。

顔を手で押さえているから少しくらいは何かを出したのかもしれない。
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