2222―SF(すっとぼけフィクション)―
~序章~ 約束からはじまった2人は
◇◇◇◇◇


なんだ。


オレを再び眠りから呼び覚まそうというのか。


眠りから醒めても、世界はオレに光を与えないっていうのに。


眠らせてくれ。もしその間に、世界が終わったってかまわない。


オレを再び眠りから呼び覚まそうとするものよ。



残念だ。



今、
沈黙するのは、
オマエだ!


ジリリリリリリリ…
バン!



オレは音だけを頼りに、そいつをぶっ叩いた。


そしてふたたび静寂がもどる…



ゴキ。



しかし、
彼女はオレをゆるさなかったようだ。



残念だ…


○○○○○


いえ、
べっつにあたしそんなにできた女じゃないですよ。


けど、
掃除洗濯炊事家事仕事家庭その他もろもろ1人分以上やってりゃそりゃちょっとは自分ほめてあげてもよろしくてじゃありません?


目覚まし時計なんかに頼らなくたって勝手に朝目が覚めちゃう……こりゃもうほぼ良妻ですよ。よくやってると思いますよ。


DVしても許されますですよ。


目覚ましから逃げて夢の世界にUターンかますワタルに天誅を。


夢より現実をみやがれ。



午前七時、目覚まし止めたワタル、宙に舞うあたし。



ワタル?あんたはどんな夢をみてるの?


ひょっとしてロマンスな夢なのかしら?


時計を止めてまでみたい夢の向こうにしか救いを求められないなら、


そのロマンティック、あたしが止めてあげる。




このとびげりで。




ゴキ。




ワタル、残念ね。



あたしはあんたの夢を許せないの。


もうすぐ、仕事に行く時間よ。


とっとと起きて、支度するがいいわ。







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