2222―SF(すっとぼけフィクション)―
○○○○○


最初はうまくいかなかったけど、

長い間こんなことをしているうちに、

普通に会話する速さとまではいかないけど、

だいぶ速く意思疎通ができるようになった。


こんなことができるようになっちゃったあたしたちは、
多分普通じゃない。


ていうか、
頭に汚れた厚い包帯をぐるぐるまきにしてるワタルの外見からして普通じゃない。


こんなところで、
ワタルにおぶさってるあたしの状況からしてふつうじゃない。


もちろんあたしはコアラじゃないし有袋類でもない。


コアラのかわいさに、はりあえるとも思えない。



はりあえませんよ。
あのコアラですよ?



……まあ、
とにかく、
おぶさってるっていっても、

ワタルは両手を別のことにつかってて、

あたしの足を押さえてくれてるわけじゃないから、

本当は、
足をワタルのおなかにぎゅっとして、

しがみついてるような感じ。


どんなにぎゅっとしても、

ワタルはぜんぜんへいき。

このひとの腹筋、
けっこうすごいですよ。


……まあ、
そんなかんじで、
あたしはおぶさりながら、

包帯の巻かれたワタルの顔に指を当てて、

トラックの扉の位置を指示した。


人差し指を浮かせたら前にすすんで、
中指を右にずらしたら右手あげて、みたいな。


だいぶ苦労したけど、

考えようによってはけっこうすごいことになっちゃってるあたしたち。


ガンダムはアムロが一番うまく操縦できるけど、

ワタルはあたしが一番うまく操縦できるような気がする。


ってことをこないだワタルにいったら、


バカにすんなっ


て殴られた。


ガンダムじゃなくてエヴァだそうだ。




オマエがバカだ。




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