2222―SF(すっとぼけフィクション)―
◇◇◇◇◇


はじめからなにもかもが悪かったわけじゃない。


出会ってしばらくの頃は、まるで天使がゆりかごを揺らすようにしてオレを目覚めさせてくれたユキ。



それがだんだん、
ビンタにかわり、
チョップにかわり、
パンチにかわり、
キックにかわり、
ダイビングヘッドバットにかわり、

そいつが痛かったらしく,

今日はとびげりになったようだ。


オレの命も、もう長くはないだろう。


死を迎えるまでに、いったいあと何度目覚めを経験できるのだろう。


しかし、
背負った罪とユキとの約束は、


オレにその運命を受け入れさせることになるのかもしれない。


これまでしてきたこと。


どう考えても悲しい約束と最悪な過去。



今は忘れた振りをして生きていられても、


オレたちを追いつめるそいつがある限り、


いつか死をもって罪を償わなければならない日がくるのだろう。



オレたちの過去は、
ほんとうは、
絶望と悪夢に満ちている。







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