2222―SF(すっとぼけフィクション)―
○○○○○


[いきなよ。
いろいろ、ありがとね。

死ぬまえに、
あんたにあえて、
よかったかな。

あの約束、
守れなくてごめんね]


そのときあたしは、

これでよかったんだ

って思った。


なにをしたのかはわからないけど、

ワタルは、

自分を許してもいいひとだと思ってたから。


殺すって約束は、
したけど。


こうやって、

ひとり死んでいくべきなのは、

あたしだけ。



そんだけのことを、
したから。



あたしのせいで死んでいったたくさんのひとも、

そう願ってるはず。


でもそう思ってたあたしに、

ワタルは言葉をくれた。



[オレの目になれ。
オレの背で、
道を教えてくれ]



その感触はとても力強く、

温かかった。



[うつるよ?
そしたら……
ワタルも]



[もう、
うつってるかもしれないだろ。

それに、
うつったってかまわない。


オレは命を続ける資格がないから]


なんにしても、
やっぱりワタルも死を求めてるんだって思った。

ただ、
かんたんに受け入れられないだけで。


あたしと、
同じように。


だから、
つたえた。


[じゃ、
死ぬときは一緒だって約束も、つけくわえよっか]


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