授けられた力・消えた記憶
◆夢と現実◆
ある、荒れ果てた地…


木々は燃え果て…灰になり…

地に映える緑さえも焼け尽きた…

川を流れる水は枯れ果て…

自然そのものが、全て消えた…


辺りには、何十人…何百人もの人々が、体をボロボロに倒れている…

身動きを取る事もない人々…


赤く染まる服…

地面に斑に散らばる赤い雫…


生存者などいない…
血に染まった、村…



ある燃え尽きた木の下、横たわる、1人の少年の姿があった…

体中を血に染め、ガタガタと震える少年…


彼の前には、1人の男の姿が…

震える少年を見下し、鋭く光る、緑色の瞳で睨む男…

彼の口元は、笑っていた…



少年は、うっすらと意識があるようで、目の前に立つ男を見上げた…


助けを求めるように…

しかし…


男は少年を助ける気など、ないらしく…


 -お前に力を与えよう-

 -……-

笑うように男はそう言った…


少年の反応を気にする様子もなく、男は少年の額に、手を当て目をつむった。



何をされているのかわからない…

何か起きているのか…

この男は何をしているのか…


だが、体が危険信号を送り出す…

ドクン…ドクン…と
脈うつよに体全身に血が巡る

鋭い頭痛が襲い…

吐き気をもよおす…


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