授けられた力・消えた記憶

サキの目が赤黒く輝き始めた。

異変に気づいたカリンが叫ぶ。

 「!目を見ちゃダメ!」

 「「!?」」

とっさにサキから目を反らした。

 「…」

 「何も…起きなかった…」

サキは何かをしたはずだった。が、何も起こっていない…

 「ここは俺達に任せりぃな。」

イワンはサキに向きなおり、カリンに言う。

 「そうね。カリン、あなたはラビの元へ。」

マイもイワンと同じようにサキを睨んで言う。

 「でも…」

戸惑うカリン。

 「いいんやて。行け!」

そんなカリンの背中を押したイワン。

 「…うん!」

それが不安を断ち切ったのか、カリンは走り出し、サキの横を通り過ぎる。

「!待ち…」

サキはそれを止めようとしたが…

サキの手がカリンに届く前に、サキの横を黒い矢が通り過ぎた。

それをとっさに避けたサキ。
矢の飛んできた方に目をやる。

 「あんたの相手は俺達や。」

そう言い、マイとイワンはサキを睨むのだった。

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