授けられた力・消えた記憶

サキの兄が最後に残した言葉…
彼の望んだ、最後の願い…

-もう少し見てやりたかったよ…

お前の幸せを見届けるまで…

それが、両親が俺に託した…最後の頼み だったから…

神がいるなら、もう少しだけ、命の光を …頼みたい…-


 「…兄は、最後まで自分の事は考えませんでした…そんな兄を助けたかった…兄の望みを…叶えたかった…」

そう言い、目を強く瞑る。
まるで、涙をこらえるように…

 「それで…お兄さんの望みを、叶えるために…」

 「はい…」

カリンは悲しそうなに言う。

 「そう…やったんか…」

イワンも仕方ないといった様子で…
マイは悲しそうな目でサキを見つめた…

だが、ルイだけは違った。
いや3人以上に心配しての事だったのかもしれない…

 「サキ…お前の思いはわかる…だが、もうそんな事…考えるな…」

しっかりした目で、サキを見つめる。

 「でも兄を…」

サキはルイに言葉をぶつけようとする。悲しみを押しやる為に…

だが、その言葉は遮られた。

 「サキさん…」

カリンがサキに近づき、手を握ったのだ。

 「?…!これは…兄の温もり…」

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