授けられた力・消えた記憶

サキとカリンの周りに光が輝く。
暗闇が占領していたこの部屋を眩い光が埋め尽くす…

あまりの眩しさに、目を瞑る5人。

恐る恐る目を開く…

目の前にいたのは…

-サキ…

 「兄…さん…」

そうサキの兄。
死んだはずの兄が、サキの目の前にいるのだ。

光に包まれ、サキを優しく見つめる兄。

-俺は、お前の側にいつもいる。もうこんな真似はよせ-

 「…」

言葉を失うサキ。

-お前を見てる事が、俺にとっての幸せだった。だから俺の望みは叶ってるんだ。-
 「…兄さん…」

思いもしなかった兄の言葉…
サキの目に涙が滲む…

-…あんな事言って、すまなかったな…-

 「いいえ…私が兄さんに迷惑ばかりかけていたから…」

-俺はそれが嬉しかったんだ。サキと一緒にいれることが…

サキに微笑みかける兄。
そして手を伸ばし、サキの涙を拭った。

-サキ、お前は、お前の思う通り生きろ。そうすればお前を光が導いてくれる-

 「光が…?」

-あぁ。信じてるよ…サキ…-

そう言い残し、兄は光を放つ。

 「!兄さん!」

サキは兄を止めようと、手を伸ばす。
だが、何も掴めなかった…
掌の中には、兄の温もりを感じる光のみ…


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