授けられた力・消えた記憶
●想い
宿の二階の部屋。
4人が借りた2つの部屋の一室。
そこには、ベッドの上で、腕を頭の後ろで組み、仰向けに寝そべった男がいた。
「はぁ…」
溜息を吐く切れ長の目をした男。
イワンである。
「気をつけろ。て、んな事言って…」
そんな独り言を言っていると…
トントントン…
「?」
部屋の扉が叩かれる音がした。
「イワン…」
それと同時に中に入ってくるのは、背が高く、短い髪の女。
「何や?マイ…」
そうマイである。
「う、うん…ほら、あの人言ってたじゃない。1人にならない方がいいって…」
ちょっとはにかみながら言う。
「やから、ここに?」
「うん…心配だし…」
イワンから目を離す。恥ずかしがっているようだ。
「やけど、カリンは?」
イワンはそれに気づいてないようで、カリンの心配をしていた。
ちょっとガッカリした様子のマイ。だが、気づかれないように、普通に振る舞う。
「…カリンは、ルイといる。ほら、やっぱりルイも心配なんだよ。」
「そか…」
そっけなく言うイワン。ベッドに寝そべったまま、また天井を見つめた。