授けられた力・消えた記憶

そんなイワンを見ながら、マイの胸は締め付けられたのだった。

(…イワンは、カリンに気があるんだよね…でも…)

心の中で呟くマイ。
寝ころぶイワンに目をやる。
そして…

 「イワン…」

 「?」

不意に呼ばれ、寝そべったまま顔をマイに向けるイワン。

 「イワン、私…私、イワンの…事が…好き…」

何故か涙がこみ上げてくるのをこらえ、マイは笑ってそう言った。

 「!!」

イワンは驚いた様子で、動きが止まっていた。

マイはいてもたってもいられず、続けた。

 「イワンの気持ちはわかってるよ。でも、伝えたかった…伝えないと、気持ちに押しつぶされそうで…」

 「…無理や…」

 「!…」

イワンはきっぱり言った。

その言葉に言葉を失うマイ。

さらにイワンは続ける。

 「お前は俺に前の奴の面影写しとうだけやないか…」

 「!」

本当の事を言われた。確かにマイは、イワンに昔の彼の事を写していたのだ…

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