授けられた力・消えた記憶
◆男に助けられ◆
ルイ達は林を歩いていた。
道の両端に立ち並ぶ、緑の木々。
自由に育ち、枝を長く伸ばしている。
その枝を掻き分けながら、先へと進む。
歩きながら、ふと、何かに気づいた様子のルイ。
すぐ後ろをチョコチョコとついてくる彼女。
彼女に振り返り、口を開いた。
「そうだ、君の名前、聞いてなかったな。」
「あっ、そうでしたね……私、カリンって言います。」
微笑む彼女…カリン。
いつ見ても彼女の笑顔は天使のようだ。
「カリンか。よろしく」
ルイもカリンの微笑みに答え、微笑んで言った。
「こちらこそ」
そしてまた2人は歩きだす。
随分と歩いた所で、カリンは疲れたように言った。
「あの、どこに行くんです?」
「まぁ、街に着いたらいいんだけど…!うわっ!」
そう言ったルイは、声を上げた。
何か異変に気づいたカリンは、ルイの元へ行き、無事か確かめようとした。
「!?どうしたん…!キャッ!」
そしてまた声が上がった。
2人は網のような物に捕らえられ、宙吊りになっていたのだ。
何か獲物を捕らえる罠のような物に…
その中でルイは言った。
「何だ…これ?」
「何でしょうね?」
どうにか出ようともがくが、出られる様子ではない…
ザッ
そこに、こちへ向かってくる足音が…
「!誰か来る…」
危険が2人に近づく…