授けられた力・消えた記憶

男の姿が見えなくなると、マイはカリンにこっそりと話かけた。

 「ねぇ、あの人、礼儀正しくて良くない?」

同意を求めるマイ。

 「そうかな…」

しかし、カリンはそうは思わないようで…

 「良いって!あんな人がいたらなぁ…」

そう言いマイの目は、イワンへと向けられたのだった。


2人がそんな事を話している中、イワンはルイに小声で言う。

 「おいルイ。行く気ないんやろ?」

 「…」

イワンの言う通りだった様子のルイ。
無言で他の方向を見る。

そんなルイの反応を見て、イワンは警告する。

 「ここはカリンの故郷や。向こう行ったら知り合いがおる。もし、元彼とかおったらどないするんや。」

元彼と言う言葉を強調して言うイワン。

 「!そんな…」

それに反応した様子のルイ。
少し戸惑った様子を見せる。

 「?ルイ、どうしたの?」

いつもそんな様子を見せないルイを見て、少し心配になったカリン。

 「いや…何でもない…」

ルイは誤魔化す。
カリンは少し納得いかないようだったが再びマイと話だした

 「やから、途中で抜け出したりすんなや。」

 「わかったよ…」

少し頬が赤く染まっているのは気のせいだろうか…

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