授けられた力・消えた記憶
●過去を知る者
一人取り残されたカリン。
「…」
おとなしく席に座り、ルイが戻ってくるのを待っていた。
そんなカリンの元へ何者かが近づいて来る。
その人物はカリンの隣にかがみ、笑いかけた。
「?」
不思議な顔をするカリン。
男はカリンを見つめ、口を開いた。
「一緒に、踊りませんか?」
カリンに手を差し伸べそう微笑みかけた。が、
「え、いえ…」
カリンはそれを断る。
すると男は笑顔を消し、カリンにもっと近づいた。
「僕は、あなたの過去を知っています。カリン…」
耳元でそう囁く男。
「!」
カリンはその言葉に目を見開き、男へと顔を向ける。
すると、男はカリンをジーと見つめる。特徴のある緑色の瞳で…
どれだけそんな状態が続いたのだろう…2人共、顔を反らそうとはしない。
すると…
「…」 バタ
カリンは意識を失い、男に倒れかかった。
それを、白い腕で受けてとめた男は、何かをたくらむように、笑っていた…