授けられた力・消えた記憶
●失敗
闇の中、人間のスピードとは思えない速さで、家々の屋根を移動する姿があった…
それは、黒髪の女リリン。
その女の腕の中には眠っているカリンの姿があった。
そんなリリンの前に何者かが現れる。
「!…」
リリンはスピードを止め、立ち止まる。そしてそこにいたのは…
「ノ、ノワール様!?」
そう、そこにいたのはノワール。ノワと同じ、緑色の濃い瞳を持つ男…
「何をしてる?」
ノワールは閉じていた瞳をリリンに向け、威圧的にそう言う。
「は、はい…その…カリンを…」
リリンは正直にそう言った。
背中を嫌な汗が伝う…
「フンッ…バカな真似を…」
ノワールは、眠っているカリンを見ると、鼻で笑った。