授けられた力・消えた記憶
イワンは3人が立ち去ったのを確認し、安心したようにため息をついた。
「ハァ…出てきてかまへんよ。」
その声を聞いて2人は姿を現す。
「…何でウソを?」
疑問に思ったカリンはそう訊いた。
その問いにイワンは冷静に答えた。
「今この村の人々は怯えとんねん。そんな時に、あんたら旅人がかかったて言うたら屍やないかて疑われるやろ。」
その言葉にルイは納得したようだ。
「そうか…ありがとな。」
「礼言われる事してへんよ」
ふと、ルイの頭に疑問がわいた。
「そういえばイワン、何故お前は俺たちが屍じゃないと?」
「カン鋭いな…わかるんや…生まれ付きやったこの力は…」
そしてイワンは遠くを見つめるような目で話始めた。
「俺は、人の脈拍や面影で、感情や行動を予知したりする事ができるんや。やから、屍と人間の区別をする事ができる。あいつらには、脈拍もなにもあらへんからな。」
辛い思いをしたのだろうか…
イワンは悲しそうな目をした…
「すごい力…」
カリンはイワンの話を聞くと、そう言葉を漏らした。
それを聞いて、イワンは微笑む。
しかし、その笑顔は、作ったように見えた…
「ありがとな。やけどあんたら2人の事は何もわからへん。屍じゃないってのは確かやけど…」
「…」
2人はイワンの言葉に答えなかったのだった…
いや、答えられなかったと言った方が適切なのかもしれないが…