授けられた力・消えた記憶
●一抹の不安
4人の旅人は、谷を抜け、山道を進んでいた。
情報がない以上、目的とする行き場は無いものの、どことなく歩んでいるのだ。
だが、いつもと違う…
先程はあんなに仲の良さそうに歩いていたのに、今4人は顔を伏せ、考え込むように歩を進めていた…
何があったのか…
それは、4人が谷を越える時に起こった…
水が輝きながら流れる中、その中を歩む4人。
そんな4人を、降りしきるマイナスイオンが、癒やしてくれる、はずだった…
慣れない濡れた場を歩む為、カリンが足を滑らせたのだった。
「キャッ!」
「!…大丈夫、か…?」
転びそうになったカリンをルイが支える。いつものそんな光景。
しかし、触れたその手が、あまりにも冷たかった…
こんなに太陽が地表を照らしているというのに、彼女の手は、冷えきった氷のようい冷たかった…
その冷たさが引き金を引いたように、ルイの頭にあの言葉が蘇る。
-カリンは、死んだ事になってる…-
クロウンのその言葉…
忘れようとした記憶…
信じようとしていた…
生きていると…必ず、生きていると…
しかし、心はそうはいかない…カリンを疑う…そう囁くのだ…