授けられた力・消えた記憶

森の中、もの凄い勢いで、風を切り進む姿が2つ。

 「お前が俺に頼みにくるとはな…」

その内の1人、悪魔と思われる男が、スピードを緩める事無く言った。

 「色々あるんだよ。僕にも…」

もう1人の、緑色の瞳を持つ色白の男も、スピードを緩めずに答える。

 「そうか…!」

その時、弛めなかったスピードを一気に急停止させる2人。


目の前に何者かが現れたのだった。


 「何をするつもりだ。」

濃い緑色の目を向けながら、そう訊く。

 「!ノワール…」

 「…お前には関係ない…」

2人はその男、ノワールを睨みつける。精一杯の力で…

 「関係ある。カリンの事だろう?」

 「…」

全てを知っているような口振り。

実際に当たっていた。この男には、何も隠す事ができない…

 「どけよ…」

 「そうはいかない。」

色白の男、ノワは未だに緑色の目で睨みながら、そう言うが、

ノワールは動こうとはしない…

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