授けられた力・消えた記憶
●仇討ち
辺り一面を緑で覆い尽くす。
小鳥のさえずりが響き渡り、澄んだ空気が漂う。
そんな山道を歩く4人の人影。
青い瞳を持つ整った顔の男、ルイ。
その横を嬉しそうに歩く、長い髪を下ろ
した幼い顔の女、カリン。
少し離れた所では、切れ長の目の男イワンと、長身の女マイがいた。
「思ったんだけどさ、ルイに力を与えた奴って誰なの?」
唐突に、マイはそんな事を言い出した。
この空気に心を癒されていたルイは、マイの問いに答える事にした。
辛い思いなのに…
「俺にもよくはわからないんだ。」
「名前は、ノワールだよね。」
「そうだ。それしかわからない…」
カリンが教えてくれた名前で、本当かはわからないが、情報がない以上、ノワールを追うようにしたのだ。
「名前だけか…」
「どこで会ったの?」
今日のマイは、よく訊いてくる。
気になるのは仕方ないだろう。
隠す事じゃない。
話しても構わない。
「俺が産まれた場所でだよ…」
いつもなら断ったかもしれない。
思い出したくわないから…
しかし、今は、話す決意ができた。
何故だろう…
この空間に癒されたのかな…