授けられた力・消えた記憶

リリンは一歩ずつ4人に近づく。

危険を察知し、弓を構えるマイ。

何か行動を見せれば、直ちにに放つ事ができるように。


 「お願いです…私の話を、聞いて下さい…」

リリンは立ち止まり、4人に懇願するように、そう言った。

その声はどこか暗く、瞳には、悲しみが含まれていた…

 「?何や?これも作戦か?」

敵は悪魔。何をするかはわからない。
また、リリンの服には血が付着しており、信用しろと言う方が無理だろう。

 「違います…」

 「そんな事言って…」

マイは弓を引く。

 「!…」

それを見て、リリンは目を見開くが、逃げようとする素振りはない…


ただこちらを見つめている。悲しみを含んだ瞳で…

 「待って!」
 「待て。」

その瞳を見て、嘘をついているのではないと察知したのか、マイを止めるルイとカリン。

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