授けられた力・消えた記憶

洞窟へとたどり着いた4人と、1人の悪魔。

体に付いた雨の雫を払いながら、意外に広い洞窟を見渡していた。

 「へぇ…こんな所にこんな場所が…」

奥へ奥へと歩んでいく。

その中、

 「ルイ、ありがと。」

カリンは何故かルイに礼を言っていた。

 「いいんだよ。俺も、そんな感じしたから。」

 「うん。」

ルイは、カリンの髪についた雫を払いながら、笑いかけそう言った。
それに、笑顔で返事をするカリンだった。


 「それで、話ってのは?」

だいぶ奥へと来た4人と1人は、中央辺りに火を灯し、それを囲むように座っていた。

 「ノワ様の仇を討って頂きたいんです」

燃える炎を見つめていたリリンは、顔を上げ、強い瞳でそう言った。

 「仇を討つ?」

 「はい…」

どういう事なのか…

 「ノワって誰や?」

イワンはまずそこから訊いた。

 「ノワールの息子だ…」

 「「!」」

その問いに答えたのは、ルイだった。

せの答えに驚く3人。

 「ご存じでしたか…」

しかしリリンだけは、落ち着いた様子でそう言った。

いや、落ち着いていると言うのだろうか…

何だか、疲れているというか、辛そうにみえた…


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