授けられた力・消えた記憶

洞窟の外に出たリリン。
外は、大粒の雨が降りしきる。


(私の役目は終わりました…後は時間がくるのを…)

その中を、歩きながら思っていると、

 「!」

何かに気づいたリリン。
少し離れた場所に、良く知る人影が見える…

 「ノワール…」

濃い緑色の目をしたノワを殺した、憎き存在、ノワール…


ノワールは木にもたれかかり、腕を組んで立っている。

 「リリン、お前、何をした?」

 「…貴方には、関係ありません…」

目を向けずに言うノワール。
だがそれを、憎しみを含んだ目で睨むリリン。


 「関係ある。言え。」

 「命を失ってでも、言う事はできません…」

どちらも一歩も退こうとはしない…



 「フンッ…」

 「!…」

リリンの命を失っても。と言う言葉に、鼻で笑うノワール。

それと同時に姿が消え…

先程身を寄せていた木の枝が微かに揺れる…

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