授けられた力・消えた記憶
「ハァハァ…どこに…」
洞窟の中、リリンを追って走ったカリンは、雨で視界がはっきりしない中、目的の人物を探した。
「…」
もう既にどこかへ行ってしまったのだろうか…
そう、諦めかけたその時…
雨に打たれる2つの人影。
はっきりとはわからないが、リリンの姿だろう。
カリンはそこへ向かおうと足を踏み出した。その時…
「…」 バタ
「え…」
リリンは崩れるように膝を付き、濡れた地面へと倒れ込んだ…
雨で濡れた地面へと…
そして、雨でできた水たまりが、赤く…染まる…
「…」
遠くからでもそれがわかる…リリンの体から、大量の血が、流れ出ている事が…
そして、リリンの体が動かない事が…