授けられた力・消えた記憶
恐怖に怯え、頭を抱えるカリン。

男から逃げる事もできない…


そんな事もお構いなしに、ノワールはカリンに近づく…


2人の距離は、もうそれ程ない。手を伸ばせば届く位置にいる。

が、何かに気づいたのか、ノワールはカリンに触れる事もなく、その場から消えた…


しかし、恐れる男がいなくなったにも関わらず、カリンは震えていた…

寒さからではない、恐怖からの震えだ…


(怖い…)


(怖い…怖い…)


(誰か…誰か…)




(誰か…)


降り続けていた大粒の雨が、より一層勢いを増した…


悲しみを、現すように…

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