授けられた力・消えた記憶

洞窟の中、

雨で濡れたカリンは、火の近くに座り、身を暖めていた…


濡れたせいで震えているのではないとわかってはいるが、濡れたままでは風邪をひくと、そこに座らせたのだった。


ボーっと火を見つめるカリン。

震えるは止まり、恐怖に怯えていた顔も和らいだ。

 「少しは落ち着いた?」

カリンの横に腰を下ろし、優しく話しかける。

それに微笑みをみせて首を縦に振るカリン。


 「よかった…何があったか、話せる?」

安心した様子のマイ。再び優しくそう訊いた。

辛いかもしれない…しかし、何があったのか、知るべき権利がある。

仲間として…


 「うん…」


そしてカリンは自分が見た事を、全て話した…

リリンが目の前で殺された事…
その人物が誰なのか…
緑色の瞳の男…

全てを…

しかし、カリンが怯えていた本当の真実は、口には出さなかった…


 「そないな現場を…」

 「もしかして、そいつがノワール?」

 「かもしれないな…カリン、辛かったろうにありがとな。」

 「ううん…」


いつものように戻った4人。


辛い思いをした…

誰がそんな場を目撃しても、恐怖に怯えるだろう…


しかし、そんな事も忘れられたのも、仲間がいたからだろう…


仲間がいてくれたからこそ、辛い思いも、忘れる事ができた…


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