授けられた力・消えた記憶

そのアザを見つめるルイ。

 「いつから…?」

 「故郷にいた夜から…」

カリンは顔を伏せている。

 「何で言わなかったんだ?」

少し強く言う。
怒っているのではない、しかし、口調が強まるのだ。

 「わからなかったの…最初はただのアザかと思ってた…朝になれば、すぐに消えるし…それに…迷惑、かけたくなかった…」

 「…迷惑なんかじゃない…」

 「…ごめん…」

共に顔を伏せたままだった。


 「…そのアザが何であっても、カリンは俺が守るから。」

 「…ルイ…」


何かを決意したように、ルイはカリンを見つめる。

その青い瞳に見つめられると、何故か、心が癒されて、何もかも忘れさせてくれる。


2人の間に漂っていた、暗い空気は消え去り、優しい雰囲気に戻ったのだった。


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