授けられた力・消えた記憶

丁度、山を降りた所。

 「そや…俺、今やから言っとく…」

 「?何よ、急に…」

イワンが突然、マイに何か言い出したのだった。

 「一度しか言わへんで…」

 「?」

イワンはマイに向き直る。
その顔は、真剣な面もちである。

そんな顔を見て、マイは何を言い出すのかと、不思議な顔をする。


 「俺…マイの事、好きや。」

その言葉…

思考が止まるマイ。

2人の間を、暖かな風が吹き渡る…


 「!…今、何て…」

少し反応が遅れ、マイは恐る恐るイワンに問う。


 「ゆうたやろ…1度しか言わへんて…」

だがイワンは顔を赤くし、それ以上は何も言わなかった。


すると、

 「…イワン…うぅ…」

マイ泣き出してしまったのだった。

 「!な、泣くな!泣くなや!」

 「うぅっ…うぅぅ…」

悲しみの涙ではなく、嬉しさの、喜びの、涙。




       ズキ!

そんな囁かな一時を見つめていた時、カリンの腕に、痛みが走った。

鋭いその痛み…しかし、腕には何も傷などはない…


 「!?どうした?」

 「…ううん…何も…」

顔を歪めるカリン。ルイは心配するが、何もないと言う。

 「そうか?」

 「気にしないで…」

 「…」

無理して笑ったようにみえた。


しかし、その時は、そこまで気にしなかったのだった…


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