授けられた力・消えた記憶
歩を進めるノワール。
「よく来たな、ルイ。」
自分を睨むルイを見つめ、そう言った。
ルイは決して嬉しそうではない。
むしろ、さらに鋭く睨んでいる。
そんなルイを気にする様子もなく、その目は、カリンへと向けられた…
「そして、我が娘よ。」
「!」
「むす…め…?」
訳がわからない…
娘…?
カリンへと目を向ける。
カリンは、地面に座り込み、目を見開いてノワールを見ている…
「カリン…が…」
「そうだ。カリン覚えているだろう?」
ノワールはカリンに緑色の瞳を向ける。
それを、震える瞳で見つめるカリン…
その時…
「…!痛い!」
カリンは腕を押さえ、叫びだしたのだ。
その腕は、アザのあった腕…
「!カリン!」
ルイはカリンの側に向かおうとした。が、体が動かない…
カリンは叫び続ける…
涙を滲ませて…
「痛い!」
「どうした!?」
ルイは動けない以上、声をかけるしかなすすべがない…
ルイの目の前で、カリンは痛みに苦しみ、もがいている…
目の前にいるのに…苦しんでいるのに…助けに行けない…
「イヤー!」
「カリン!!」
カリンは金切り声を挙げ、その場に気絶した…