授けられた力・消えた記憶

 「悪の血が、流れ出したようだな。」

倒れたカリンを確認すると、ノワールはそう言った。

 「!悪の、血…?」

訳がわからないルイ。
呟くようにそう言った。

その言葉に、ノワールは不適な笑みを浮かべ、言う。

 「我が仲間の血だよ。」

 「!そんな訳…」

 「あるさ。カリンは1度、死んだのだからな。」

 「!…」

死んだ…
その言葉は一度聞いた言葉…
カリンの故郷で聞いた…
本当だったのか…


ノワールは、ルイの反応を見て、理解したようだ。

 「知ってるようだな。ならば話は早い。そのカリンを私は蘇らせたのだ。」

 「蘇らせた…」

今のルイは、放心状態に近い…

 「そう。カリンは悪の者になった。お前が倒した悪魔や屍霊達は、全てカリンによって仕掛けられた事だ。」

 「!嘘だ!そんな訳、あるはずない!」

反抗するルイ。
動けないが、もし動けていたら、ノワールに斬りかかっていただろう…


その時、カリンは全ての記憶を取り戻していた…

(…!私は1度、死んだ…)
(そして、悪の者に…)


2人の言い争いは続く…

 「嘘などではない。」

 「お前の言う事など…」

ノワールを更に青き瞳で睨みつけるルイ。

今までにない、憎しみのこもった、鋭い瞳で…


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