授けられた力・消えた記憶

穏やかな風が吹く中、
激しい争いは続いていた。

銃を放ち、敵の隙を突いて剣を振るう。

しかし、その攻撃は難なく敵に交わされた。

 「ハァハァ…クソッ…」

息を荒げる青き瞳、ルイ。

ルイの体は、切り傷や擦り傷で、ボロボロだ。

それに対し、敵であるノワールは、攻撃も当たらず、傷一つつけられない…


(すぐそこに、爆発しそうな力があるのに…)

ルイの心の奥底で眠っている、強い力…
しかし、それを掴む事ができない…


 「フンッ…なかなかやるな。見込んだ甲斐があるよ。」

ノワールは余裕綽々だ。
武器も何も持っていないのに…


ルイはそんなノワールなど気にかけず、自分の奥底に眠る力を見つけだそうと集中していた…

(その力を使えば、こいつを倒せる…だが、それが…)


 「終わりにしよう」

ノワールはこの戦いを終わらせる気だ。

ルイに勢い良く向かってくる…

 「クッ…」

剣を構えるが、何もできない…

その時気づいた…
ノワールの目的が…

 「止めろー!!」

ノワールの目的…それは…俺ではなく、カリンを殺すこと…


ルイは走った…間に合うかはわからない…でも、助けたい…


       ドスッ!

何かが蹴り上げられる、鈍い音…

辺り一面に、赤い、血が舞う…


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