授けられた力・消えた記憶
「ん…!ルイ!ノワールは!?」
目を覚ましたマイ。
第一声はそれだった。
飛び起きて、当たりを見回す。
「…大丈夫だ…」
その様子を見て、無事だと確認ができ、安心したようだ。
「そう…ちょっと、イワン。」
ルイの体中の傷を気にかけながらも、マイは、隣でまだ眠っているイワンを起こす。
「何や、もうちよっと寝かせてぇな…」
「何言ってんの」 ビシッ
こんな所で眠っているにも関わらず、イワンは眠り続けようとする。
しかし、それを無理矢理起こそうと、マイはイワンの頭を殴る。
「!痛いな…?ここは…」
「何、寝ぼけた事言って…」
やっと起きたイワンは、頭を抑えながら、辺りを見回す。
少し離れた所で、ルイとサキが話していた。
『今はここまでしかできませんが…カリンさんは、目を覚ますのに時間がかかるようです。それまでこちらへ…』
「あぁ…」
サキはカリンの額から手を離し、どこかへ歩いていった。
その後を、カリンを抱えついて行くルイ。
訳が分からないが、マイとイワンもそのあとを追った。
ノワールがいなくなった今、この空間は歪み、荒れた地となった…