授けられた力・消えた記憶

一方、ルイとカリンはというと、共に暮らしてはいないものの、一緒にいる時間が長くなっていた…


何事もなく、全てが終わった…

カリンの心の傷は消え、癒された…

そう思っていた時だった…


空は雲が覆い、暗闇が支配するある夜の事…


 「はぁ…カリン今日は…」

カリンを探しに、ある部屋に来た時だった…


いつもいるはずのその姿がどこにもなかったのだ…


他の部屋を探そうと、部屋を出る際、何かに気づいた。

 「?紙…?」

机の上に、紙切れが置いてあったのだった。


その紙切れを手に取り、眺めるルイ。
そこには何か書いてある。

整った綺麗な字体で…


 《今まで考えてきました。どうしたらみんなに、ルイに迷惑をかけないか…

私は旅に出ます。自分を見つめるために…

みんなと一緒にいられるようになったら必ず帰ってきます。

だからそれまで心配しないで下さい》


それはカリンの残した物…

 「…カリン…何で…」

全てに目を通し、ルイはその紙切れを握りつぶす…


 「イワ…!」

とっさに出そうになったその言葉…
しかし…


(2人にはもう迷惑はかけられない…)


そう、もう2人には…
2人には頼れない…


そう思い、ルイは1人で外へと向かった。


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