授けられた力・消えた記憶

町の出口へと歩を進める、女の姿…

カリンである…


幼さの残るその顔は、苦痛に満ちていた…


 『あんたはもうすぐいなくなる。』

 「…」


カリンの心の中から、もう1人の彼女の声がする…からかうように…

しかしカリンはその声を気にする様子はない…



 『聞こえてんだろ?』

 「…」

内の声は再び呼びかけるが、カリンはただただ歩を進めていた…



 『あーうざったい…さっさと消えなよ。あんたが消えれば、私がこの体を使う事ができんだよ。』


(…どうにかしないと…私の中の誰かに、この体を渡したらどうなるか…)

(ううん…そんな事は考えない…少しでも時間をかせがないと…)


外見から見れば、気にしていないように見えるが、心の奥底では、苦しみ、悩んでいたのだ…


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