授けられた力・消えた記憶


     ポタ…ポタ…


 「…うっ…」

腕を押さえ、膝をつくカリン。

苦痛に顔を歪める…


 『!バカな…』


血の音の元は、カリンの腕からの物だった…


自分の腕を、アザのある腕を刺していたのだ…


いつもと異なる痛みが、体中に巡る…



しかしその痛みは、自分が生きているという証でもあるように感じた…


歩き続けなければならない…
しかし、痛みのせいで、動けない…


痛みが和らぎ次第、歩き出すしかない…




暗闇の中、1人の女が、膝をつき、痛みに耐えるのだった…



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