授けられた力・消えた記憶

カリンに、まず初めに追いついたのは、ルイだった。


ルイはカリンに追いつくと、腕を掴み、制止させる。

 「!」

 「…」

驚くカリンに対し、無言でカリンを見つめるルイ。


 「…放して…」

 「…」

カリンはルイの腕を振り切ろうとする。しかし、女であるカリンの力では、ルイにはかなわない…

 「…放して!」

 「…できるかよ…」

 「!…」

 「んな事できるかよ!できるはずねぇだろ!」

 「…」

初めて見るルイの怒った顔…
その顔を見ると、何も反抗ができなかった…


 「何で突然いなくなった…?何で1人で考えんだよ…?」

 「…」


青い瞳に映る、怒りと悲しみの光…

ルイもカリンと同様に、苦しんでいる…


 「少しは俺を頼りにしろ…信じろよ…」


信じろ…その言葉がカリンの頭の中を駆け巡る…


 「…信じてる…信じてるよ…でも、それとこれとは違う…」


 「…違わなぇよ…」



 「違う!貴方には、この痛みはわからない!」

 「!…」

苦しみに満ちた瞳をルイへと向けるカリン。その瞳は潤み、今にも泣き出しそうだった…

その瞳と、カリンの言葉が胸に突き刺さる…


ルイ力が弛んだ隙に、カリンは腕を振り解き、走り出す。


 「!カリン!」

その後を、マイとイワンは追う。

しかしルイは動けなかった…


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