授けられた力・消えた記憶
「ハァ…ハァ…」
荒げる息…額に浮かぶ汗…
焦る気持ちと、カリンを思う気持ちがルイを急がせる…
しかし、走り出す事ができない…
膝をつくルイの前に、何者がが屈み、背中を向ける…
「?…」
「乗りぃな…」
目の前にいたのは、イワンであった。
イワンはルイに手を出し、そう言う。
おぶるというのだろう。
「いい…」
ルイは断り、立ち上がるが…
「っ…」
おぼつかない足取り…
それを見て、イワンは頭をかきながら、
ルイの前に立つ…
「あぁー…俺も恥ずかしぃんや……早よ乗れ…」
再びルイの前に屈むのだった。
今度は恥ずかしそうに…
「…すまない…」
やっと折れたようで、ルイはイワンの背中に乗った。
「…ほな、行くで…」
イワンはルイが乗ったのを確認すると、走り出した…
その後に、マイが続く…
暗闇を、ある場所を目指して走る2人…
ルイは、イワンにおぶられながら、夢の中の事を思い出していた…
ルイの背中を押した人物…
落ちる前に、その人物の姿を見た…
長い髪…綺麗な顔立ち…
(…俺をあそこから出したのは……背中を押したのは…カリン…お前なんだろ…?)