授けられた力・消えた記憶
カリンが目を覚ましたのを確認すると、マイは泣き出した…
瞳に溜まっていた、涙の雫が頬を伝っていく…
「うぅ…ぅっ…良かった…良かった…」
「泣くなや…」
それを慰めるように、頭を胸に寄せ、頭をなでるイワン…
そんなイワンも、目に涙を浮かべているようだ…
それを、どうにか零すまいと、耐えるイワン。
ルイは、ずっと、ただずっと、カリンを見つめていた…
青い瞳で…
優しく…
ずっと、ずっと見つめていた…
カリンはと言うと…
自分を見つめる青い瞳…
その瞳を見つめ返していた…
目を反らす事はなく、自分を見つめるルイを見て、口を開く…
「…あなたは…?」
記憶を失ったカリン…
目の前に見ず知らずの者がいれば、そう問うのは当たり前だろう…