授けられた力・消えた記憶
ルイとカリンの横を、もの凄い勢いで何かが通り過ぎる。
それと同時に風がおき、2人の髪を揺らした。
それはイワンの顔すれすれを通り過ぎ、壁に刺さった。
「あ、危ねぇ…」
イワンは壁に張り付き、目を見開いていた。
そこに何者かが現れる。
「ごめん!ケガ無い?」
そこに現れたのは、背が高く、髪を短く整えた女性。
彼女は壁に刺さった物を外した。
それは、黒い矢のような物だった。
冷や汗をかいているイワンは、汗をふくようにして言った。
「大丈夫や…」
その言葉を聞いて彼女はイワンの顔を見る。が…
「良かっ…」
彼女は途中で言葉を切ったのだった。
それに気づいたイワンは、彼女の顔を見る。
何か戸惑っているような顔だ。
「?何や?」
「…い、いえ」
彼女は顔を反らす。