授けられた力・消えた記憶

そうそれは霊…
1人の女性の霊が、光を避けるように、暗闇の中に身を潜めていた。

霊の存在に気づいたマイは弓を構える。

だが…

 「待って!」

カリンはそれを止める。

 「何言ってんやカリン!そいつは霊やで!」

そう叫ぶイワン。
霊を見つめたまま答えるカリン。

 「そうだよ…でも違う…」

 「何が…?」

 「気持ちが…」

 「気持ちって…」

そんな言葉を聞いて、信じられないとマイは今にも矢を放ちそうだ。

が…

 「止めろ。」

マイの弓に手を置き、それを止めるルイ。

 「なっ…」

反抗しようとマイはするが、ルイは冷静に続ける。

 「カリンを信じよう。」

マイは諦めたようだ。弓を下ろして言う。

 「…わかったよ…」

だが目は霊を鋭く睨んでいる。

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