授けられた力・消えた記憶

少し顔を歪め、カリンは言う。

 「…ここから先には…行けない…」

<<えっ?>>

その言葉に驚いた様子の女の子。

 「あなただけでも行けるわ。道はわかるはず。」

カリンは女の子の肩に手を置き、優しく言う。

<<でも…>>

それでも戸惑う女の子。
だが、これから自らで行かなければならないのだ。
自分達は付いて行く事はできない。

「さぁ…」

 <<…うん。>>

それをわかっているカリンは、女の子の体を道の方に向け、背中を押した。

そして女の子は歩を進める。
一歩ずつ確実に…

が…

<<行くな…お前の母親は、向こうになど、いない>>

女の子の前に新たな霊が現れる。

< 97 / 380 >

この作品をシェア

pagetop