卒業証書〜絆〜
第1章
―懐かしい教室。
校庭。
体育館。
そして・・・この学校。



「あ!清本せんせー!」

「おー、お前ら、ずいぶんでかくなったな」

私たちは大いに笑った。

ここ、清川西小学校は、私たち132人が卒業した学校だ。

今はここにいる全員が、もうあと一年でそれぞれ通っている高校を卒業する。

今日私たちがここに来た理由は・・・、清川西小学校の”卒業証書”をもらうため。

私たちの卒業証書は学校のタイムカプセルに埋めてある。

私たちはこの学校が大好きだった。

いろんな思い出が、この学校には詰まっているから。

だけどこの学校は、今年で廃校になってしまうらしい。

本当は成人式の当日に、卒業証書をもらうはずだった。

だけどその頃には、もうここは・・・、会社かなにかに変わってしまうのかもしれない。

そんなの、私たちはもちろん納得できないけど。

「・・・由良」

後ろから声が聞こえた。

「!嘘!!!翔くん!?」

『え・・・。嘘!本当だ!翔だ!』

周りがざわめき始めた時、翔の横にいた男子が言った。

「翔!もうお前、すっかり有名人ジャン!」

翔は5年前、バンドのオーディションを受けて、見事合格。

あれから翔は、もうすっかりこの街に名の知れる有名人だ。

そして私が言う。

「・・・もうなんか、この学校にいたときは、いろんな事があったよね・・・」

ざわざわしていた周りが静まる。

「うん・・・。そうだよね」

「てか清本せんせー、早く卒業証書ちょうだいって~~」

「あぁ、忘れてた!じゃあ皆、ついてこい」

『はーい!』

< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop