ちゆまど―世界は全て君のために―


「ロードさん、それ……」


「ん。ああ、不覚にも火傷してしまってな」


「だっせー」


「晩ごはん抜きにするぞ」


「大丈夫ですか、あ、私が治します」


「治すって……」


ロードさんの指を取る。


治れ治れと祈れば、すぐに終わった。


ロードさんが絆創膏を取れば、綺麗な指先があらわになった。


「驚いたな」


「すっげー、お前も術者だったのか。しかも、姫と同じじゃないか!」


「姫様も同じことができるんですか」


「私とあなたでは結果は同じですが、やっていることは違いますねえ」


え、と見れば、紅茶を飲む姫様。


クロスさんとて、はてな、みたいな顔をしているし。


「姫とおんなじじゃないんですか?ほら、姫だって傷治したり、病気治したり」


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