ちゆまど―世界は全て君のために―


(四)


シブリールさんは夕方の内に出てきた。


「ただいま」


「おかえりなさい。そうだ、ケーキあるんですよー。紅茶は冷めてしまったので、飲めませんが」


「ユリウスのお手製……じゃないな、誰作ったのこれ」


「ロードさんです。ほら、髪がながい」


「ブサ男が?見かけによらず、器用なものだ」


ブサ男云々はともかく、シブリールさんでさえ褒めるできらしい。


さすがに出されたものだ、食べてくださいと言えば彼は言うことを聞いてくれる。


「美味しいですよね」


「ユリウスのプリンの方が美味しいよ」


「もー、どうしてそう素直じゃないんですか」


「素直だよ。俺はユリウスの手料理の方が好きだ。やっぱり、好きな人が作ってくれたと思うだけで嬉しくてね」


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