ちゆまど―世界は全て君のために―
(五)
次の日の早朝。
早速、私たちは姫様がいる執務室におもむいた。
「決まったようですね」
「俺の決意は固まった。やってくれ」
シブリールさんの言葉は嬉しいものだった。
私は離れたい。――そう、離れたいんだ。
だから心の奥底にある想いをしまう。
「お願いします」
「……いいのですね、ユーリさん」
「はい」
「分かりました」
姫様が立ち上がり、私たちの前に立つ。
間を取り、二人の手を握った。
目をつむる姫様。一分ほど経ったろうか。
「ああ、これはいけない」
姫様が手を離して、目をあけた。
終わったのかと思えば違うらしい。
「ユーリさん、拒絶をなさらないでください」
投げかけられた言葉に心臓がしめつけられた。