ちゆまど―世界は全て君のために―


シブリールさんまでもが、私を見つめる。


その視線にどう答えたらいいか分からないし、頭が痛くって。


「“時の調律師”は、私がやったことを巻き戻しました。ただ、私の力とて半端なものじゃない。今、彼女の中ではそうしようと繰り返す私の力を巻き戻し続けている。再生を押し、戻す。延々としたループが続き、あなたたちは離れることはない」


「そんなこと……!ユリウスの無意識下でそんな魔術が起こるはずが」


「良くも悪くも“魔術の独り歩き”ですよ。主人の本質たる願望を叶えている。第一、こんな大きな魔術を意識的に使えば彼女の身がもたない。本来、彼女の体は病気をなかった時に戻すだけでも苦しいはずだ」


頭が痛い。
ざあーと黒い砂嵐が起こっていた。


二人の話が耳に入っているようで、受け入れがたい。


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