ちゆまど―世界は全て君のために―
「つまりは、ユリウスが本心から離れたいと望まなければ、このままなのか」
「そうですね。私の力は呪いがかっていますから。やすやすと消えたりしない。ユーリさんが本心から離れたいと望んだ時、巻き戻しも終わり、再生されるでしょう」
「ユリウス、どうして……ユリウス?」
「大丈夫ですか」
声が出せない。
貧血のようにくらくらした。
立っていられず、シブリールさんに支えられる。
「ユリウス!」
「少し失礼しますよ」
姫様が私の手を握った。すると不思議なことに、痛みがなくなったではないか。
シブリールさんの助けなしでも立ってもいられる。
ただわだかまりみたいなのは残っていた。
「ユーリさん、私に治せるのは人体の不調のみです。心までは完治できない」