ちゆまど―世界は全て君のために―
髪をすいてくれた彼の手つきは言葉同様優しかった。
――私の心の奥にある本心が邪魔をする。
消そうにも消えない。なぜ、そんな気持ちがあるのかも分からないからだ。
同情なのか、愛情なのかすらも分からない。
時間がかかりそうだった。
「私の魔術――時を操る力を意識的に使えばなんとかなりませんかね」
「無理だろうね。ユリウスにはその技術がないし、魔力もない。時を操るなんて俺でもできないことだ、体にどれほどの不可がかかることか……」
焦らなくていいよと彼は言う。
「いつか離れたいと真に思う時がくるだろう、その時こそ――」
言葉が遮られた。
地鳴り。
軽い悲鳴をあげたら、彼が守るように抱き寄せてくれた。
地震かと思ったが、間を置いては何回も揺れる。