ちゆまど―世界は全て君のために―
意味がよく分からなかった。
「此処にないなら他所だ。この世界にないなら別の世界の宛をあたろうではないか」
前にシブリールさんが言ったことを思い出す。
世界というのは無数に存在する。
人間の世界。動物の世界。死者の世界といった形に。
私たちがいる世界は、認識する内の一つでしかないと。
「他の世界では、私たちが離れる術があるのですね!」
「ああ、余はそれをする者を知っておる」
「嘘をつかないでもらえますか、ババア。あなたにできないのに、100%の確率で俺たちを引き離す技術など」
「いるのだよ。たった一人、完璧にして万能なる者が。余の友人だ」
シブリールさんが苦い顔をする。嘘でないことはあの顔が言っていた。