ちゆまど―世界は全て君のために―
「それじゃあ……」
無理ではないかと落胆するが。
「ユリウス、ババアはわざわざ無理な話を持ちかけないよ」
頭を撫でられた。
「シブリールの言う通り、一つだけ手があるぞ」
「本当ですか!」
「ああ。なに、簡単な話。別の者にそなたらを送らせれば良い」
「そっか、それだったら」
いける、と拳を握った。
「ババア、呼ぶならまだしも、俺たちを異世界に送れる奴なんか……」
「逆ぞ、シブリール。あやつは呼べない。余ですら難しい域なんだ。なんたって、“全人類の毒”だからな。あやつを呼べるのは余しかおらなんだ。
その点となれば、そなたらを送った方が楽だ。まあもっとも、架け橋を繋ぐのは高度な術だが。そなたも知っておろう。それができる高度な魔導師がいることを」