ちゆまど―世界は全て君のために―
手向けは言葉を


(一)


久々の我が家とあってかぐっすり寝た。

起きるなり、彼が付き添ってくれていたのを見る。


添い寝だ。いつもならベッドから叩き出したいところだけど、今日は甘えさせてもらった。


ぴったりと密着した体を離す。上体をあげるなり、彼も反応した。


「おはよう」


「おはようございます」


寝癖ができているであろう髪をすいてくれる手。私も同じことをした。


「すっきりした顔立ちになっているね」


「もやもやを思い出したからだと、思います」


「そう……。これからどうする」


口を結んだ。

寝る直前まで考えていたことだ。


どうするか。

兄をそのままにしておくわけにもいかないだろう。


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